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2007.06.27(Wed)
大阪高裁:平成18年(う)第1743号


昨日は大阪高裁での寝屋川教職員殺傷事件の
控訴審に行ってきた。
少年事件が毎月のようにセンセーショナルに報道されるから
既に概要を忘れた方も多いはず。
平成17年2月に大阪府寝屋川市の市立小学校に
当時17歳の少年が乱入して教師1人を殺害、2人に重症を
負わせたという事件。
家宅侵入、殺人、殺人未遂、銃砲刀剣類所持等取締法違反。
一審判決は懲役12年の実刑判決。
広汎性発達障害の影響が注目されたが、
一審では刑事責任能力ありと判断されたという事件だ。


今回の公判廷で気になった点をいくつか。
ほとんどが弁護側ないしは検察側からの質問を
受けての少年の答えについて。


まず少年は以前は被害妄想があったが今はないという。
しかし強迫観念にかられて房の前の人の行き来が
気になったり、自分が思ってもいないことを
突発的にしたり言ったりしないかが心配らしい。
自分の障害への自覚はあると見てよいのだろうか。


犯罪被害者のことが書かれた本や認知行動療法に
関する本、自分のことが書かれた新聞記事などを読む。
それが被害者への償いの気持ちからならいいのだが、
現状では単純に当時の学校のパニック状況を
知りたいなどということなので真に生かされて
いるのかがよく判断できない。
本の内容についても「生きて償うことは綺麗事」という
フレーズが印象に残ったが、むしろ自己否定が
強まって「自分は悪い人間」だという思いが
重みを増したのみだそうだ。
ちょっと弁護側ロジックからすれば残念な答えかもしれない。


また一審終了直後は控訴を取り下げようと思ったとも。
しかし翌日には「自分を完全に捨てることはできない」と
落ち着いたから考え直した。
少年が言うには刑期に関することのみを考えて
取り下げたというのだ。
つまり現実的な選択として限りなく低い可能性ながら
少年院送致になる可能性も残っているわけだが
それを狙って控訴審を争うわけではないという。
つまり「実刑12年=自分を捨てる」と読めばいいのかな。
だから実刑は覚悟で少しでも短い判決を勝ち取りたいと
理解すればいいのだろうか。
いまいち少年の内面にある論理が読みづらい。


そして最も興味深かったのが亡くなった鴨崎教師の
遺族への手紙の中で、家族のことを思って泣いたという
記述があると指摘された。
それは家族が世間から非難を受けて大変だろうと
想像すると泣けてきたということだそうだ。
そういう泣きたくなるような感情が被害者に対して
あるかという質問に、それはないとキッパリ。
無茶苦茶になったレベルが家族と被害者では
違うということに思いが及ぶかと問われると
「どちらが上とか言うべきではない。
ただ鴨崎さんについては亡くなったので別かもしれない」
というような趣旨の答えをした。


私はここに少年の持つ闇の部分というか
広汎性発達障害の難しさを見た気がした。
普通の人がこんなことを言っても世間で通らない。
しかし裁判でこういうことを堂々と言ってのけるところが
障害たるゆえんなのだろう。
素人目に見ても弁護側は少年に対して良いパスと
言うとおかしいが、少年有利になるように上手く
誘導しようという作戦は抜群だったのだが
ことごとく少年はパスをスルーしてしまう。
決定的なところでボロが出てしまう。
心底の謝罪の念はもてないとか言ってしまう。


つくづく広汎性発達障害は難しい障害だと感じた。
少年自身の中でも事件から2年経ってもまだまだ
整理ができていないという印象を持った。
しかし読書をしたり自分を変えようという意識は
持っているようだ。
それならすべきことは他にもあるのではないだろうか。
謝罪の念が湧かないのに手紙を書いてもそれは
受け取ってもらえないだろう。
まずは変わった自分を目に見える形で内外に
見せていかないと。


責任能力の判断は素人にはできないけれど、
これは間違いなくあると感じた。
自分のやったことの意味は彼なりに感じている。
現状でそれが弁護側、被害者などが期待するものとは
違っているのが残念でならない。
見た目も話し方も年相応の19歳だった。
控訴するしないは自由だからいずれは判決を
受け入れて実刑に服して更正してもらいたい。
家族を思って涙を流す心を持つのなら
それをもっと有意義な場面で発揮してほしい。


弁護側は改めて少年院送致の保護処分を、
検察側は「量刑不当」として更なる厳罰を求めた。
攻防はまだまだ激しく続きそうだ。


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コメント

この記事へのコメント一覧

質問
すみません、次回公判で何をやるかお解かりになりますか?
2007/08/14(火) 16:39:28 | URL | 中村 #-[ 編集]
8月28日(14:00開始予定)に
川越少年刑務所の刑務官が
少年の生活状況について証言します。
9月13日(10:30開始予定)に
結審の予定です。
2007/08/14(火) 23:38:17 | URL | 管理人 #8rLoXPBc[ 編集]
有難うございます。被告人質問は、もうやらないのでしょうか?
2007/08/15(水) 10:56:01 | URL | 中村 #-[ 編集]
それと、申し訳ございませんが、初公判に傍聴希望者はおおよそ何名来たか、教えていただけますか?
2007/08/15(水) 11:01:29 | URL | 中村 #-[ 編集]
私もずっと本件の傍聴を続けきた人ではなくて
前回が初だったので詳しくはわかりません。
あくまでご参考までに。
次回が証人で、その次で結審となると
被告人質問はないとみるのが普通かと思われます。
前回(6月)に限って言うと傍聴希望者は
集合の時間までに定員に達せず抽選はありませんでした。
事件が既に風化したのかと私は拍子抜けしましたね。
開廷すると満席になっていましたが。
2007/08/15(水) 12:27:13 | URL | 管理人 #8rLoXPBc[ 編集]
有難うございました。重ね重ね申し訳ありません。
2007/08/15(水) 14:34:33 | URL | 中村 #-[ 編集]
訂正です。
本コメント欄に寝屋川事件の結審は
9月13日と書きましたが誤りが
ありました。
9月13日10:30~最終弁論が行われて
その次で結審予定です。
この書き込み時点で結審日は決定して
おりません。
申し訳ありませんでした。
2007/08/28(火) 22:34:05 | URL | 管理人 #8rLoXPBc[ 編集]
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